巻頭言
精神科医のための卒後初期研修—医学教育改革の中で
尾崎 紀夫
1
1藤田保健衛生大学医学部精神医学教室
pp.234-235
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902383
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精神医学卒前医学教育改革の方向性
近年,生命科学は飛躍的進歩を遂げており,医師にとって習得すべきbiologicalな知識は増大する一方である。他方,biologicalな知識とpsycho-socialな視点を融合させた医療の実践が求められており,それを受けて卒前・卒後医学教育をいかにすべきかという議論が活発になされている。卒前医学教育に関しては,医師国家試験出題基準・平成13年版(以下国試基準と略)が厚生省によって公表され,文部省は医学教育モデル・コア・カリキュラム(以下モデル・コア・カリキュラムと略)を発表した。
国試基準においては「コミュニケーション能力や行動科学的な領域を含む臨床能力を問う問題を充実させる」との方向性が打ち出され,「患者・障害者の持つ心理・社会的問題」や「医療面接における面接者の態度」といった項目が国試の必須出題事項となる予定である。これらは医療全般にかかわるものであるが,精神医学との関連が深く,教育面で精神科がイニシアチブをとることが期待されている。さらに,国試基準において精神科そのものが従来の精神・神経・運動器疾患グループから離れて,精神・心身医学的疾患として独立し,精神科独自の出題割合が増えており,全体として精神科関連の国試出題範囲はかなり拡大するものと予想される。
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