Japanese
English
特集 今,なぜ病跡学か
病跡学と精神科臨床
Pathography and Clinical Psychiatry
中谷 陽二
1
Yoji NAKATANI
1
1筑波大学社会医学系精神衛生学
1Institute of Community Medicine, University of Tsukuba
キーワード:
Pathography
,
Clinical psychiatry
,
Creativity
Keyword:
Pathography
,
Clinical psychiatry
,
Creativity
pp.129-136
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902370
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はじめに
病跡学が対象とするのは傑出人や芸術家,歴史上の人物であり,彼らが残した作品や事績である。したがって,医療サービスには貢献しない机上の学である。しかし,腹の足しにならない余技にすぎないにしても,精神科医や心理療法家の興味をそそるには相応の理由があるはずである。病跡学の実学的な効用として思い浮かべられるのは,表現病理学という観点から芸術療法に寄与することである。とはいえ,病跡学は芸術療法に解消されるわけではなく,それ自体の存在意義を持つ領域である。小論では病跡学が症例研究を基本に据えるという事実から出発し,精神科臨床に対して持つ意義について考えることにしたい。
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