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精神医学における日本の業績
呉秀三の業績—「精神病者私宅監置ノ實況及其ノ統計的観察。附,民間療法」を中心として
Psychiatric Contributions of Professor SHUZO KURE: Centered on the report of private confinements of the mentally ill in Japan (1918)
秋元 波留夫
1
Haruo AKIMOTO
1
1東京大学
1Tokyo University
pp.977-982
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902289
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はじめに
呉秀三(1865-1932)10)は東京大学精神医学教室および都立松沢病院の事実上の創設者であるとともに,また日本精神医学の「建立者,Begründer」(斎藤茂吉の評語)である(この文章では呉先生をはじめ諸先輩の敬称を省略させていただく)。
呉の業績と生涯については,かつて私は一文1)を草したが,「精神病学集要」3巻8),「精神病鑑定例」7)をはじめとする精神医学領域の業績のみならず,「シーボルト先生其生涯及功業」9)「華岡青洲先生及其外科」,「医聖堂叢書」などの医学史領域の後世に残る膨大な業績のなかから,あえて彼と樫田五郎の共著「精神病者私宅監置ノ實況及其ノ統計的観察。附,民間療法」(1918)5)を選んで語ることにしたのは,この報告が精神医学および精神科医の使命が何であるかを教えて余すところがないと日ごろ私が考えているからである。この報告が書かれた時代的背景,この報告の内実,そのこれまでに果たした,そしてこれから果たすであろう役割について考えてみたい。
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