Japanese
English
特集 「治療を終える」に向き合う
【摂食障害】
神経性過食症の「治療を終える」
“Ending Treatment” for Bulimia Nervosa
野間 俊一
1
Shun'ichi Noma
1
1のまこころクリニック
1Noma-Kokoro Clinic, Kyoto, Japan
キーワード:
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
治療の終結
,
ending of treatment
,
否定的感情
,
negative emotionality
,
嗜癖
,
addiction
,
自己存在の確立
,
establishment of self-existence
Keyword:
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
治療の終結
,
ending of treatment
,
否定的感情
,
negative emotionality
,
嗜癖
,
addiction
,
自己存在の確立
,
establishment of self-existence
pp.1563-1567
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207448
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抄録
神経性過食症(bulimia nervosa:BN)の治療の終結とは何だろうか。BNの3〜4人に1人は慢性化すると言われるが,その背景には,まず性格傾向として,否定的感情,完璧主義,衝動性の高さがあり,否定的感情を軽減させるために過食や代償行動が嗜癖的に反復されると考えられる。少なからぬBN患者にトラウマ体験があることが推測されており,さまざまな傷つきに由来する自己存在の不確かさが否定的感情につながっていると考えられる。認知行動療法をはじめとする,BNに対する有効性の示された治療プロトコールには,治療期間が定められているものが多いが,BNの治療目標である嗜癖的な病的食行動の修正と自己存在の確立が,あらかじめ決められた期間に達成されることはないだろう。BN患者が人生の課題を自分の力で抱えていきたいと考えた際に通院がいったん終了することはあっても,いつでも再開できる関係は続けるべきである。その意味でBNの「治療を終える」ということはない。
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