Japanese
English
特集 「難治例」の臨床—治療に難渋する時の診断,治療,そして予防
「難治例」をどう理解するのか
How do We Understand Refractory Cases?
中込 和幸
1
Kazuyuki Nakagome
1
1国立精神・神経医療研究センター
1National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
治療抵抗性
,
treatment resistant
,
薬物反応性
,
drug responsiveness
,
心理社会的治療
,
psychosocial treatment
,
社会機能
,
social function
,
クロザピン
,
clozapine
Keyword:
治療抵抗性
,
treatment resistant
,
薬物反応性
,
drug responsiveness
,
心理社会的治療
,
psychosocial treatment
,
社会機能
,
social function
,
クロザピン
,
clozapine
pp.1366-1374
発行日 2024年11月15日
Published Date 2024/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207413
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抄録
難治性,治療抵抗性とは,標準的な治療に十分な反応を示さないこと,と定義される。すなわち,実際に難治性,治療抵抗性症例を抽出しようとしたら,標準的な治療とはどこまでの治療を指すのか,十分な反応とは何がどの程度よくなることを指すのか,を明らかにする必要がある。精神科領域における治療法は,薬物療法が中心であることは確かだが,心理社会的治療やニューロモデュレーションなど,異なるモダリティによる治療のエビデンスも増えてきている。一方,十分な反応に関しては,治療ターゲットが単なる症状改善から社会機能やQOLの改善を目指す医療へと変化がみられている。しかし,各研究間のプロトコルが一様でなく,難治性,治療抵抗性の定義に加えづらいことから,臨床現場における“治療に難渋する症例”とはずれてしまう傾向がある。今後は,大規模なレジストリによって縦断的なリアルワールドデータを収集し,難治性,治療抵抗性を層別化し,新たな治療法の開発につなげていくことが期待される。
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