Japanese
English
特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
精神・行動変化を伴う高齢者法医解剖例の神経病理
Neuropathological Appearance in Elderly Forensic Autopsy Cases with Mental and Behavioral Disorders
西田 尚樹
1
Naoki Nishida
1
1富山大学学術研究部医学系法医学講座
1Department of Legal Medicine, Faculty of Medicine, University of Toyama, Toyama, Japan
キーワード:
神経変性疾患
,
neurodegenerative disease
,
自殺
,
suicide
,
高齢者
,
senior citizen
,
気分障害
,
mood disorder
,
転倒事故
,
fall accident
Keyword:
神経変性疾患
,
neurodegenerative disease
,
自殺
,
suicide
,
高齢者
,
senior citizen
,
気分障害
,
mood disorder
,
転倒事故
,
fall accident
pp.440-444
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207244
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録
気分障害の重篤な合併症と考えうる自殺者剖検例の検証は病態解明に有用と考えられるが,大半は法医解剖されるため研究対象になっていない現状がある。筆者の研究室にて,2007年以降,標本作成可能な全剖検例について死因を問わずに各種免疫染色とGallyas-Braak染色を行ったところ,多くの医療機関未受診の高齢者に明確な神経変性疾患病理を認め,器質的疾患,特に4-repeat tauopathyが精神変化や運動障害の器質的背景となっている可能性を示してきた。本稿では,筆者や内外の研究者が行ってきた研究成果を紹介し,法医解剖例が,高齢者の気分障害,運動障害の疫学的検討や病態解析を行う際の有用なリサーチソースとなり得る可能性につき紹介したい。その一方で,法医解剖例の大半は生前に重度の臨床症状がなく,精神科や神経内科を受診することなく死亡している症例が多いことから,生前の臨床情報が希薄であることが問題点として挙げられる。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.