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特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
神経発達症の器質的背景—自閉スペクトラム症と注意欠如多動症を中心に
Organic Background of Neurodevelopmental Disorders
幅田 加以瑛
1
,
神谷 拓
1
,
小坂 浩隆
1
Kaie Habata
1
,
Taku Kamiya
1
,
Hirotaka Kosaka
1
1福井大学医学系部門病態制御医学講座精神医学
1Department of Neuropsychiatry, University of Fukui, Fukui, Japan
キーワード:
神経発達症
,
neurodevelopmental disorders
,
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorders
,
注意欠如多動症
,
attention-deficit hyperactivity disorder
,
脳神経画像
,
neuroimaging
Keyword:
神経発達症
,
neurodevelopmental disorders
,
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorders
,
注意欠如多動症
,
attention-deficit hyperactivity disorder
,
脳神経画像
,
neuroimaging
pp.399-404
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207237
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抄録
本稿では,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)と注意欠如多動症(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)を中心に神経発達症における脳の発達と環境因子の影響について論じる。ASDでは,生後早期に脳の過成長がみられ,特に皮質表面積の急速な拡大が関連している。また,白質線維路の異常な発達と機能的結合の低下は,社会性の障害に結びついている可能性がある。ADHDでは,特定の脳領域の体積減少を認め,白質線維路のFA値の変化は症状の持続性と関係している。治療薬の影響による脳形態の変化も指摘されている。環境的影響としては,妊娠中の栄養状態や有害物質への曝露がリスクを高めることが示唆された。ASDとADHDの複雑な病因に迫る試みがなされているが,決定的な原因はまだ特定されていない。今後は,新しい画像撮影技術や解析方法の開発,さらには周産期の障害を含む環境因子との相互作用を考慮に入れることで,病態のより深い理解が進むことが期待される。
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