古典紹介
—シャルル・ラセーグ—ヒステリー性拒食症について【第1回】
西依 康
1
,
稲川 優多
1
,
加藤 敏
2
1自治医科大学精神医学講座
2小山富士見台病院
pp.1685-1693
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207152
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私見によれば,ヒステリー性の諸疾患に関する経過史の作成は,症状群それぞれを個別に研究することによってはじめて可能になるだろう。この予備的な分析作業の後,ヒステリー性疾患の諸断片が結びつけられ,そこから病気の全体像が再構成される。ヒステリーを一絡げに捉えて考察してしまうと,個別の現象や不確実な事象があまりにも多いため,一般的なものの中から個別的なものを捉えることができなくなってしまう。
この手続きを,特定の時間,特定の場所と局在,特定の現象様態に限定された病態に適応する場合にはあまりに問題が多いのだが,本論での使用は妥当なものである。私はすでに,ヒステリーの性状をもつ咳と一過性のカタレプシーの特徴を挙げようと努めた。他の人々は,片麻痺,一過性ないし持続性の拘縮,知覚麻痺などを扱った貴重な個別研究を行ってきた。今回私は,1つの症状複合を扱うつもりである。これは,例外的な偶発事だとするにはあまりに頻繁に観察されるものであり,加えて,われわれがヒステリー症者の精神的布置の内奥に入り込むことができるという利点を持っている。
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