Japanese
English
特集 子どものうつ病に気づく
発達過程でのうつ病の気づき—小児科医のまなざし
Recognizing depression in the developmental process:Pediatrician's gaze
阪上 由子
1
,
澤井 ちひろ
1
Yuko Sakaue
1
,
Chihiro Sawai
1
1滋賀医科大学小児科学講座(小児発達支援学部門)
1Pediatrics Department, Shiga University of Medical Science, Shiga, Japan
キーワード:
神経発達症
,
neurodevelopmental disorder
,
逆境的小児期体験
,
adverse childhood experiences
,
感情行動調整の困難さ
,
irritability
Keyword:
神経発達症
,
neurodevelopmental disorder
,
逆境的小児期体験
,
adverse childhood experiences
,
感情行動調整の困難さ
,
irritability
pp.1017-1021
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207033
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抄録
児童思春期のうつ病の早期発見にはリスク因子の同定,ハイリスク群の抽出が有用である。リスク因子としては周産期エピソード(早産・極低出生体重児)や家族歴(気分障害や神経発達症),養育環境・心理社会的問題(逆境的小児期体験など),慢性身体疾患や神経発達症の併存などが挙げられる。これらのリスク因子に慢性的な感情行動調整の困難さ(irritability)を伴うと,うつ病を発症するリスクがより高くなることが知られている。児童思春期のうつ病の診断には発達段階による症状の違いに留意し,本人・家族からだけでなく,第三者からの詳細な情報収集に基づき家族機能や学校生活も含めた包括的なアセスメントを行うことが重要である。神経発達症とその周辺領域を主に診療する小児科医の視点に基づき,発達段階によるうつ病の症候学的な変化と発症のリスク因子について述べる。
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