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特集 精神医学における臨床研究のすゝめ—わが国で行われたさまざまな精神医学臨床研究を参考にして
家系例研究のポイント—ベッドサイドからの精神疾患の遺伝子解析
Genetic Study of Psychiatric Disease from Bedside to Bench:Genetic Discovery Using Family Study
中村 雅之
1
Masayuki Nakamura
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神機能病学分野
1Department of Psychiatry, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima, Japan
キーワード:
家系研究
,
family study
,
精神疾患の遺伝子解析
,
genetic study of psychiatric disease
,
ベッドサイド
,
bedside
Keyword:
家系研究
,
family study
,
精神疾患の遺伝子解析
,
genetic study of psychiatric disease
,
ベッドサイド
,
bedside
pp.31-36
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206822
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抄録
精神疾患は遺伝学的にも症候学的にも不均一な集団であり,遺伝子解析の際には大きな障壁となっている。精神疾患の遺伝子解析と聞いた時に,何千,何万というサンプルの集積を要する国際的な大規模共同研究や不鮮明な解析結果を思い浮かべる臨床家や研究者も少なくないと思われる。実際に,精神疾患のリスク遺伝子を求める研究においては,確かな結果を導くために非常に多くのサンプル数が必要とされ,結果として得られたリスク遺伝子多型の一つひとつについては,疾患に与える効果量が小さいものがほとんどであった。国際的な大規模共同研究に参画して貢献度の高い結果を導くことは魅力的である反面,これから研究を始める若手にとっては実際に研究に手を付けるという意味ではハードルが高く感じられるであろう。本稿で述べる遺伝子解析は,多くの臨床家が日常臨床のベッドサイドで遭遇しているであろう,精神疾患の家系例を用いた解析である。対象を臨床的に絞り込めば,たとえ一家系であっても,効果量の高い病因遺伝子にたどり着ける可能性があり,日常臨床とも深く結びつき,若手医師が研究に参画する際に非常に魅力的な分野と考えている。
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