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特集 精神医学における臨床研究のすゝめ—わが国で行われたさまざまな精神医学臨床研究を参考にして
後方視的研究のポイント:症例対照研究
The Essential Points for Conducting Retrospective Studies: a Matched Case-control Study as an Example
森下 千尋
1
Chihiro Morishita
1
1東京医科大学精神医学分野
1Department of Psychiatry, Tokyo Medical University, Tokyo, Japan
キーワード:
症例対照研究
,
case-control study
,
転倒
,
fall
,
向精神薬
,
psychotropic
Keyword:
症例対照研究
,
case-control study
,
転倒
,
fall
,
向精神薬
,
psychotropic
pp.37-45
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206823
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抄録
症例対照研究は,既にアウトカム(例:疾患)が発生しているケースと発生していないコントロールに対して,過去にさかのぼって特定の曝露因子を有する割合を比較し,因果関係を検討するという研究デザインである。比較的コストが少なく済むという利点があり,若手が最初に実施しやすい研究デザインの1つであるが,後方視的研究の1つであり測定バイアス(アウトカム発生の有無や曝露因子の有無の評価におけるバイアス)や選択バイアス(症例と対照の選び方におけるバイアス)といったバイアスが入り込みやすいという欠点がある。症例対照研究実施にあたっては,これらのバイアスが結果に影響する可能性について慎重に検討し,綿密に研究計画を立て,より正確なデータを収集し,そのデータに適切な統計解析を行うことが肝要である。今後質の高い症例対照研究が積み重ねられることが望まれる。
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