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悩める患者さんに,よりよい医療を提供するために,研究活動が行われ,現在は常識となっている知見や治療法が確立されてきた。そして我々はこのような知見や治療法を学び,またこれらをまとめた診療ガイドラインなどを活用して日常診療を行っている。このような先人から後進への知の伝承活動は今後も継続する必要がある。しかし近年,研究活動に参画する若手医師が減っており,今後のわが国の精神医学の発展が危惧されている。そこで若手医師に研究活動に興味を持ってもらいたいという願いを込めて,さまざまな形式の精神医学研究活動を採り上げ,それぞれを実践されたわが国の研究者の方々に執筆をお願いする特集を考えた。その際,研究内容にとどまらず,どのように発想したか,どのように計画したか,またデータの収集と解析はどのように行ったのか,論文執筆や論文投稿の際にどのようなことに留意したかなどについても触れていただきたいと思った。さらに研究を通して得られた喜びや達成感,反響などについて,逆に苦労したことなどについても盛り込んでいただこうと考えた。本誌編集会議にて,若手医師が研究する際に重要となる,研究倫理のミニマムエッセンスと現在,非常に重要となっている研究成果を日常臨床に実装させるポイントについて,最初と最後に配置してはどうかとの助言をいただいた。その結果,非常に多彩であり,かつまとまった構成になったと思っている。
臨床研究の最前線で活躍されている医師は,診療場面でも最前線で活躍しており多忙である。そのような先生方に寄稿いただき心から感謝申し上げる。どの原稿も,臨場感あふれ,ワクワクする内容で,他に類を見ない本当に素晴らしい特集になったと思っている。是非とも多くの若い精神科医に読んでいただき,臨床研究に興味を持ってもらえたり,憧れたりしていただけたら幸いである。
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