- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
さまざまな精神症状,認知機能,生活機能などを評価するために評価尺度,心理検査,認知検査などが考案されている。また治療においては,家族との協同を必要とする場面も多いため,家族の介護負担感などを評価する尺度もある。われわれは,このような評価尺度や検査を使用しながら診療を行っているが,複数ある評価尺度や検査の中からどれを選択し,どのようなタイミングで使用するのかについては診療者間で十分に共有されてこなかった。そこで本特集では,それぞれの疾患や治療のエキスパートたちが,実臨床場面で,これらの評価尺度や検査をどのような考えに基づいて選択しているのか,また結果をどのように解釈し,どのように診療に役立てているのかなどについてまとめてもらった。さらに各疾患のセンターと呼ばれるような専門医療施設では,複数の評価尺度や検査をどのような手順で実際に使用しているのかなどについてまとめてもらった。
具体的には,本特集は3章立てとなっており,第Ⅰ章「疾患横断的で基本的な評価尺度・検査」では,さまざまな場面や疾患において広く使用されている尺度・検査について解説してもらった。第Ⅱ章「疾患別の評価尺度・検査」では,DSM-5の診断分類などに準拠して,疾患別に診療に有用な評価尺度・検査について解説してもらった。その際,スクリーニングに有用なものと重症度評価や治療などによる変化を測定できるものとは区別して解説してもらった。さらに一般診療で使用する尺度・検査を優先するものの,臨床研究などにおいて重要なものにも触れてもらった。第Ⅲ章「臨床場面別の活用法」では,評価尺度や心理検査,認知検査などが特に有用と考えられる精神科診療場面のいくつかを取りあげて,実際の診療の流れに沿った使用法や手順について解説してもらった。外来診察の待ち時間に実施可能な自記式尺度,初回診察時に行う検査,経過観察時に行う検査などについての記載をお願いした。また必要な場合には,血液検査,生理検査,画像検査,脳脊髄液検査などにも触れてもらった。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.