Japanese
English
特集 精神神経疾患の治療とQOL
精神疾患とQOL
Mental Illness and QOL
木下 裕久
1
,
大塚 俊弘
2
Hirohisa Kinoshita
1
,
Toshihiro Otsuka
2
1長崎大学保健センター
2長崎県精神医療センター
1Nagasaki University Health Center, Nagasaki, Japan
2Nagasaki Medical Center of Psychiatry
キーワード:
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
精神障害
,
mental disorders
,
発達障害
,
development disorders
,
WHOQOL短縮版
,
WHOQOL-26
Keyword:
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
精神障害
,
mental disorders
,
発達障害
,
development disorders
,
WHOQOL短縮版
,
WHOQOL-26
pp.255-262
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206569
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抄録 生活の質(quality of life:QOL)という用語が日常的に使われるようになって久しい。医療・保健・福祉の分野では,現状よりも高い次元のサービスを目指す指標として長く用いられてきた言葉だが,2010年代からは,政治・経済の分野でも,GDPに匹敵する指標として,社会の豊かさを表す言葉として使われることも増えた。しかし,日本の社会において,平成から令和に時代が移り,現在のコロナ禍,毎年の台風や大雨災害,そして少子高齢化による人口減少などによって,果たして日本の社会は,これまでよりQOLが高いと言えるのか疑問に思う場面が増えた印象がある。また広く世界に目を向けてみると,アフガニスタンやミャンマーなどでは,政治的な混乱の中で,人権問題に関連して,QOLの低下が言われるようになった。研究においては,医療・保健・福祉の分野に留まらず,たとえば,気候とQOLの関係の論文など,これまでなかった分野の研究がみられ,医療分野においても,たとえば,喫煙とQOL,神経発達障害のQOL,多汗症のQOLなど目新しい研究もみられるようになっている。QOLの概念が主観的な評価に留まらず,地域,国,さらには地球レベルの環境にまで広がってきている感がある。本稿では,精神障害の分野を中心としたQOL研究の現状をレビューするとともに,長崎大学がこれまで行ってきたQOL研究の結果の要約を紹介し,今後のこの分野の発展を期待したい。
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