増大号特集 精神科クリニカル・パール—先達に学ぶ
第1章 精神科面接の先達
special article
死刑囚と無期囚の心理
小木 貞孝
1
1吉祥寺病院
pp.595-597
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206337
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この研究と整理および発表は,1955年11月から1959年10月にかけて行われた。2017年6月,名古屋における日本精神神経学会総会の「先達の講演」として60年ぶりに再発表した。
対象になったのは,死刑囚(死刑確定囚)44名,無期囚(無期受刑者)51名,重罪未決囚(死刑または無期未決囚)50名である。独房を訪問し,面接を繰り返し行うという方法での研究であった。死刑囚と重罪未決囚の場合は,私の任地である東京拘置所を中心に札幌,仙台,名古屋,大阪の各拘置所を訪問の上,診察して回った。また長期受刑者を収容する千葉刑務所を訪問して無期囚の面接と対談を行った。1957年9月に私はフランス政府給費留学生となってフランスに留学した。そして,かの地で死刑囚と無期囚の心理研究の論文をフランス語で書き上げて,Annales Medico Psycho1ogiques精神医学雑誌1)に投稿し,1959年10月に掲載された。全76ページである。その日本語訳が日本で出版されたのは1974年金剛出版からで,『死刑囚と無期囚の心理』2)と命名された。
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