Japanese
English
特集 サイコーシスとは何か—概念,病態生理,診断・治療における意義
物質関連障害とサイコーシス
Substance Related Disorders and Psychosis
成瀬 暢也
1
Nobuya Naruse
1
1埼玉県立精神医療センター
1Saitama Prefectural Psychiatric Hospital, Saitama, Japan
キーワード:
物質関連障害
,
substance related disorder
,
サイコーシス
,
psychosis
,
中毒性精神病
,
toxic psychosis
,
覚せい剤精神病
,
stimulant psychosis
,
DSM-5
Keyword:
物質関連障害
,
substance related disorder
,
サイコーシス
,
psychosis
,
中毒性精神病
,
toxic psychosis
,
覚せい剤精神病
,
stimulant psychosis
,
DSM-5
pp.325-334
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206295
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抄録 本邦では,覚せい剤と有機溶剤が引き起こす中毒性精神病に対して治療経験が積まれてきた。覚せい剤による慢性中毒を覚せい剤精神病とする本邦と,覚せい剤に誘発された統合失調症とする欧米とで齟齬が生じている。操作的診断が主流となった現在,「従来診断は覚せい剤精神病,DSM,ICDでは統合失調症および覚せい剤依存症あるいは使用障害」という事例が生じている。一方,大麻精神病をめぐっても,長年議論が重ねられてきたが,その存在自体いまだに確定していない。本邦において,覚せい剤精神病と統合失調症との鑑別は,Schneiderの一級症状,陰性症状,物質使用と精神病症状の相関,対人反応などによってなされてきた。治療的には,中毒性精神病と統合失調症との差異に囚われるよりも,サイコーシスを疾患特異的なものではなく症候群として診る視点が治療介入を明確にするであろう。物質関連障害は,サイコーシスをめぐる議論に興味深い事実を示している。
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