書評
—大石智著—認知症のある人と向き合う—診察室の対話から思いを引き出すヒント
内田 直樹
1
1たろうクリニック
pp.140
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206264
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2015年に旧オレンジプランから新オレンジプランにあらためられ,認知症医療介護における精神科医療の重要性が決定的となり,精神科医は認知症を専門とする診療科の医師として期待されている。しかし,精神科医の教育課程において認知症について学ぶ機会はあまり多くなかったこともあり,実は認知症診療に自信がないという精神科医も少なくないのではないかと考える。本書は,そういった医師向けに最適な一冊となっている。
著者は認知症疾患医療センター長であり,認知症を専門とする医師として市民や医療介護職向けにさまざまな研修会を日々行っている。しかし,工夫をこらして研修会を開催しても,認知症のこと,認知症のある人の心が理解されていない現状があり,研修という方法の限界を感じていたという。そういった中,認知症を専門としない医師から「抗認知症薬は限界があるというけれど,薬を処方しないで医師は何をしたらいいでしょうか」と質問を受けた。具体的な診療方法を伝える必要があると感じ「認知症の診断とともに伝えたい言葉」をテーマに毎月の連載を開始し,この連載をまとめたのが本書であると書籍の中で語られている。
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