増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第15章 その他
③その他
性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン 第4版改
松本 洋輔
1
Yosuke Matsumoto
1
1岡山大学病院ジェンダーセンター
1Okayama University Hospital Gender Center, Okayama, Japan
pp.779-785
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206110
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ガイドラインのポイント
・性別違和を訴える者に対する診断と治療のガイドラインである。
・1997年に初版が発行された。初版から精神科,産婦人科,泌尿器科,形成外科などの複数診療科が医療チームを結成して行う包括的な治療について記載されている。
・エビデンスに基づく治療法の推奨というより,性別違和を持つ当事者に対して法的,倫理的に妥当な医療のあり方を提示しているものである。また,身体的治療を行う際の診療科間の連携手順書のような役割を持つ。
・初版から精神科的な診断と治療のアプローチに加えて,ホルモン療法,乳房切除術,性別適合手術について記載されていたが,2012年に改訂された第4版では思春期を迎えた小児への身体的治療である二次性徴抑制療法が追加され,18歳からとされていたホルモン療法開始年齢を一部引き下げた。2018年4月から,このガイドラインに沿ってGID学会の認定施設で行われた手術は保険診療の対象となっている。
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