増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第14章 物質関連障害
International Standards for the Treatment of Drug Use Disorders(UNODC/WHO)
宮田 久嗣
1
Hisatsugu Miyata
1
1東京慈恵会医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
pp.752-755
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206105
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ガイドラインのポイント
・治療は,患者のニーズに応じて,アウトリーチ,診断,簡易介入,入院・外来治療,薬物療法・心理社会的治療,療養施設,リハビリテーション,社会復帰治療などを提供するが,治療環境は,受診しやすく,治療促進的で,文化・宗教的な違いに寛容でなければならない。
・治療は,患者の人権と尊厳を尊重し,治療の内容および治療開始と終了は患者の意志によって決定されるべきである(患者にその能力がある限り)。
・薬物使用障害患者は,犯罪者として司法制度の中で対処されるのではなく,健康問題(精神疾患)として治療体系の中で対処されるべきである。
・科学的に検証され,国際的に評価が確立された治療(特に薬物療法と心理社会的治療)が採用されるべきである。
・青少年,子供,高齢者,女性(特に妊婦),性的サービス就労者,性的マイノリティー,少数民族(文化的,宗教的含む),服役者などには,それぞれの事情を考慮した治療プランが立てられるべきである。
・治療プログラム,実施手順などは,絶えずエビデンスに基づいて更新され,倫理的・医学的に管理・運営されなければならない。同時に,治療チームの責任者は,治療スタッフの疲労にも気を配り,チームが機能するように気を配らなければならない。
・治療システムは,精神科的支援だけでなく,社会的支援(住居,就労,法律的支援),他の医学的ケア(肝炎やHIVなどの感染症)などの包括的支援が求められる。支援は,まず治療計画を立案・実行し,成果を評価し,改良を加える。
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