増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第2章 統合失調症
EBPツールキット(SAMHSA)
大島 巌
1
Iwao Oshima
1
1日本社会事業大学
1Japan College of Social Work, Tokyo, Japan
pp.532-537
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206065
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EBPツールキットのポイント
・統合失調症など重い精神障害のある人たちを中心にニーズのあるすべての国民が,必要時にはいつでもEBPを利用できるよう,サービス提供体制・実施体制を整えること,それによってEBPプログラムの実施・普及を進めることが導入の目的である。
・サービス提供体制・実施体制を整えるために,まず実践的に有用で皆が共有できるEBPの標準的効果モデルを定式化・標準化する。その上で,そのモデルの実施にかかわるさまざまな立場の関係者(stakeholders)が,各自の立場でEBP実施・普及に関与するのに役立つ実施・普及のツール(用具)を提供している。
・対象者は,統合失調症を中心とする重い障害のある人たちである(他領域のEBPの実施・普及にも同様のツールキットは必須)。EBPツールキットの提供を受けるのは,EBPにかかわるさまざまな立場の関係者である。具体的にはプログラム実践家,実施機関の管理者,行政関係者・プログラム出資者,プログラム利用者・家族などが対象となる3)。
・プログラム実践家への効果を明らかにしたランダム化比較試験(RCT)の効果評価研究は行われているが4),エビデンスの蓄積は十分ではない。サービス提供体制・実施体制を整えることが狙いとなるため,連邦政府が提供するツールキットの信頼性は高く,そのために活用も促進される。
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