Japanese
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特集 ベンゾジアゼピン受容体作動薬の問題点と適正使用
うつ病治療におけるベンゾジアゼピン受容体作動薬の適正使用
Proper Use of Benzodiazepine for Depression
吉田 和史
1
,
小川 雄右
2
,
渡辺 範雄
1
Kazufumi Yoshida
1
,
Yusuke Ogawa
2
,
Norio Watanabe
1
1京都大学大学院医学研究科健康増進・行動学分野
2京都大学大学院医学研究科医療疫学分野
1Department of Health Promotion and Human Behavior, Graduate School of Medicine/School of Public Health, Kyoto University, Kyoto, Japan
2Department of Healthcare Epidemiology, Graduate School of Medicine/School of Public Health, Kyoto University
キーワード:
うつ病
,
DSM-5
,
大うつ病性障害
,
major depressive disorder
,
ベンゾジアゼピン
,
benzodiazepine
,
薬物療法
,
pharmacotherapy
Keyword:
うつ病
,
DSM-5
,
大うつ病性障害
,
major depressive disorder
,
ベンゾジアゼピン
,
benzodiazepine
,
薬物療法
,
pharmacotherapy
pp.435-443
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206047
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抄録 本稿では,うつ病治療におけるベンゾジアゼピン受容体作動薬の適正使用について,最近発表された2つの系統的レビューによるメタアナリシスの内容を紹介する。
2019年に発表された小川らによる系統的レビューでは,抗うつ薬のみによる治療と比較した時の,抗うつ薬とベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用療法でのうつ病重症度の変化スコアの差を,標準化平均値差(standard mean difference:SMD)を用いて比較している。結果は,治療開始1〜4週間後の時点(早期)ではSMD -0.25(95%信頼区間,-0.46 to -0.03,10試験,567人)であり,治療5〜12週間後の時点(急性期)ではSMD -0.18(95%信頼区間,-0.40 to 0.03,7試験,347人),治療開始13週間以降(継続期)ではSMD -0.21(95%信頼区間,-0.76 to 0.35,1試験,50人)であった。以上から,抗うつ薬にベンゾジアゼピン受容体作動薬を併用することについて,治療開始後早期については小さな効果が示されたが,それ以降の時期については効果が持続するというエビデンスは得られなかった。
2018年に発表されたBenasiらによる系統的レビューに含まれるメタアナリシスでは,治療反応率に関してベンゾジアゼピン受容体作動薬単剤による治療が抗うつ薬による治療に勝るというエビデンスは得られなかった。
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