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ミニレビュー
不確実性の推定と自閉スペクトラム症—神経ロボティクス実験による症状シミュレーション
Sensory Uncertainty and Autism Spectrum Disorder:A neurorobotics simulation of symptoms
出井 勇人
1,5
,
村田 真悟
2,3
,
尾形 哲也
1
,
山下 祐一
4
Hayato Idei
1,5
,
Shingo Murata
2,3
,
Tetsuya Ogata
1
,
Yuichi Yamashita
4
1早稲田大学大学院基幹理工学研究科表現工学専攻
2国立情報学研究所
3総合研究大学院大学
4国立精神・神経医療研究センター
5日本学術振興会
1Labpratory for Intelligent Dynamics and Representation, Department of Intermedia Art and Science, Waseda University, Tokyo, Japan
2National Institute of Informatics
3Graduate University for Advanced Studies(SOKENDAI)
4National Center of Neurology and Psychiatry
5Japan Society for the Promotion of Science
キーワード:
計算論的精神医学
,
computational psychiatry
,
予測符合化
,
predictive coding
,
再帰型神経回路モデル
,
recurrent neural network
,
不確実性
,
uncertainty
,
限定的反復的行動様式
,
restricted and repetitive behaviors
Keyword:
計算論的精神医学
,
computational psychiatry
,
予測符合化
,
predictive coding
,
再帰型神経回路モデル
,
recurrent neural network
,
不確実性
,
uncertainty
,
限定的反復的行動様式
,
restricted and repetitive behaviors
pp.219-229
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206009
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抄録 脳の計算理論の発展に伴い,それを精神疾患の病態理解に応用する試みへの期待が,近年,高まっている。特に,脳の予測符号化モデルに基づいた研究では,感覚情報の不確実性を推定する神経機能の変調と精神疾患との関連を示唆する概念的な仮説が提示されてきたが,実際の臨床で観察される行動レベルでの病像との間にはギャップが存在している。本論文では,神経ロボティクスの手法を用いることで,実験的にこの理論と臨床像との橋渡しを行った研究を紹介する。実験では,自閉スペクトラム症に特徴的な限定された反復的な行動様式や行為の停止といった多様な症状が,不確実性の過小評価と過大評価による異なるプロセスから生じ得ることが示され,精神症状のmultifinal性とequifinal性の一側面が捉えられた。また,病態理解にとどまらず,症状改善のための環境調整的な介入への理論的示唆といった,計算論的精神医学の臨床研究への貢献可能性が示された。
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