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特集 医療現場での怒り—どのように評価しどのように対応するべきか
パーソナリティ障害の怒りに対応する—特に境界性パーソナリティ障害を念頭に
Dealing with Anger of Patients with Personality Disorders:Focusing on borderline personality disorder
皆川 英明
1
Hideaki Minagawa
1
1広島市精神保健福祉センター
1Hiroshima-City Mental Health and Welfare Center, Hiroshima, Japan
キーワード:
Destructive narcissism
,
Negative therapeutic reaction
,
Personality structure
Keyword:
Destructive narcissism
,
Negative therapeutic reaction
,
Personality structure
pp.1277-1285
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205934
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抄録 パーソナリティ障害の中でも特に境界性パーソナリティ障害に焦点を当て,その激しい怒りの表出について破壊的自己愛の観点から論じた。破壊的自己愛は,Rosenfeld(1964,1971)が提唱した臨床概念である。心の無意識の世界においては,自己の破壊的な自己愛部分は理想化されたギャングやマフィアとして現れ,パーソナリティの残りの部分を制圧して支配する。「悪いもの」ではなく「良いもの」を攻撃するという特徴を有するため,医師の解釈が正しければ正しいほど陰性の反応を引き起こすという矛盾した状況を生み出し,治療はしばしば膠着状態に陥る。膠着状態の打開のためには,複数のパーソナリティが併存する構造に着目し,発生的な解釈を加えるなどの技法上の工夫が必要であることを論じた。
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