連載 小瀬古伸幸のしくじり体験・3
行方がわからなくなった境界性パーソナリティ障害の女性
小瀬古 伸幸
1
1訪問看護ステーションみのり
pp.448-452
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201184
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【事例】境界性パーソナリティ障害、摂食障害、30代、女性Eさん
Eさんは幼少期に父親が自殺し、祖母、母親と暮らしていました。父親の記憶は、ほとんどないのですが、自殺したことは理解していました。その経験から、命を守る仕事に就きたいと思い、看護師になりました。Eさんが20代の頃、母親に癌が発見されたのですが、母親は周りに心配をかけたくないという思いから、娘であるEさんを含め、癌であることを誰にも伝えていなかったようです。
その後、Eさんは一人暮らしを始めます。その頃から、仕事や人間関係のストレスから過呼吸が現れ始めました。モヤモヤした気持ちを解消するためにリストカットや過量服薬、市販薬を1回に200錠以上服用したりするようにもなりました。友人がその様子に気づき救急搬送されることもありました。そのたびに母が迎えに来て、「頼むからこんなことはやめて」とEさんに懇願していました。
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