書評
—千葉茂,本間研一 編著—『サーカディアンリズムと睡眠』
山内 俊雄
1
1埼玉医科大学
pp.1310
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205724
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睡眠は脳の機能の表現であると同時に,睡眠の障害は生物学的因子とともに,心理社会的因子をも反映するという意味で,包括的なアプローチが必要とされる病態である。しかし,睡眠という現象に科学の光が与えられたのはそう古いことではない。睡眠には異なる深さの眠りがあり,slow wave sleepとparadoxical sleepという質の異なる睡眠があると述べたのはJouvet M(1961年)であり,rapid eye movementと夢との関係を報告したのはDement WとKleitman N(1957年)であった。これらの研究は,睡眠という現象についての理解が進み,脳波がそれらの現象に科学的根拠を与えたことを示している。
そのようにして,睡眠という現象がより詳細に検討されるようになって,睡眠に伴う脈拍,呼吸,体温などの自律神経機能の変化も睡眠-覚醒に伴ってリズムを形成していることが明らかとなり,日内リズムの研究が始まった。その結果,睡眠を単に夜の現象としてとらえずに,睡眠-覚醒という一連の現象と考えるようになったと言えよう。
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