Japanese
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特集 こころの発達の問題に関する“古典”をふりかえる
摂食障害
Classic Articles on Eating Disorders
宮脇 大
1
,
後藤 彩子
1
Dai Miyawaki
1
,
Ayako Goto
1
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan
キーワード:
History
,
Concept
,
Eating disorders
,
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
Keyword:
History
,
Concept
,
Eating disorders
,
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
pp.1135-1143
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205699
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はじめに
神経性やせ症(anorexia nervosa:AN)や神経性過食症(bulimia nervosa:BN)などの摂食障害は児童青年期の女性に好発する,死亡率の高い精神障害である。ANは,痩せ願望,肥満恐怖やボディイメージの障害などのため摂食制限,あるいは過食しては嘔吐するため著しいるい痩を来す。そして,進行に伴ってさまざまな飢餓性の身体および精神症状を生じる症候群である。BNは,短時間に大量の食物を摂取し,その後自己誘発性嘔吐,下剤の乱用や摂食制限などにより体重増加を防ぐ。体重はANほど減少せず正常範囲内で変動し,過食は自制できない感覚を伴っており,過食後に無気力感,抑うつ気分,自己卑下を伴う症候群である7)。
近年,摂食障害は,美や成功の象徴としてダイエットが流行するようになった時代を反映した現代病であるとしばしば評されている。しかし,病理的な摂食行動は,AN概念が誕生するより遥か以前から,それぞれの社会文化と密接に結びついた形で現れていた。本稿では,ANおよびBNに関する古典を通じて,その概念の変遷を紹介し,その意義を考察する。
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