Japanese
English
特集 時代による精神疾患の病像変化
摂食障害
Eating Disorders
切池 信夫
1
Nobuo KIRIIKE
1
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University Graduate School of Medicine
キーワード:
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
,
Epidemiology
,
Clinical characteristics diagnosis
,
Treatment
Keyword:
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
,
Epidemiology
,
Clinical characteristics diagnosis
,
Treatment
pp.145-149
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100006
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はじめに
神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)や神経性過食症(bulimia nervosa;BN)などの摂食障害は,思春期から青年期の女性に好発する。AN発症の心理的要因として,患者の両親をめぐる依存と独立の葛藤や自己同一性の確立をめぐる葛藤が挙げられ,古くから「成熟拒否」や「女性性拒否」が 精神病理の中核に据えられてきた。しかし,この20~30年間における摂食障害患者の著しい増加と相俟って,患者層が前思春期の低年齢層から結婚後や妊娠後の年齢層まで拡がり,さらにはスポーツ選手や男性にも増加し,病因に関してさまざまな仮説が提唱されている。そしてこの状況を反映して,日常臨床においては一部の専門家だけでは対応しきれなくなってきている。このような状況は,1980年代に筆者がANを稀な疾患としてとらえていた頃と比べて隔世の感がある。そこで本稿ではまず摂食障害の疫学,なぜ増加しているのか,臨床像と診断,治療の変遷について概説する。
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