Japanese
English
展望
摂食障害
Eating Disorders
切池 信夫
1
Nobuo KIRIIKE
1
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University, Graduate School of Medicine
キーワード:
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
,
Psychosocial study
,
Biological study
,
Treatment and outcome
Keyword:
Anorexia nervosa
,
Bulimia nervosa
,
Psychosocial study
,
Biological study
,
Treatment and outcome
pp.356-369
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100243
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はじめに
摂食障害は,主に神経性食思不振症(anorexia nervosa, AN)と神経性過食症(bulimia nervosa, BN)からなる。ANは身体像の障害,強いやせ願望や肥満恐怖などのため不食や摂食制限,あるいは過食しては嘔吐するため,著しいやせと種々の身体・精神症状を生じる一つの症候群である。BNは,自制困難な摂食の欲求を生じて,短時間に大量の食物を強迫的に摂取しては,その後嘔吐や下剤の乱用,翌日の摂食制限,不食などにより体重増加を防ぎ,体重はANほど減少せず正常範囲内で変動し,過食後に無力感,抑うつ気分,自己卑下をともなう一つの症候群である。これらの摂食障害が思春期から青年期の女性を中心に急増し,さらには前思春期の児童から結婚後に発症する例も増加し,その臨床像も多様かつ複雑化してきている。そこで本稿では,まず摂食障害の疫学について紹介し,次に心理・社会的研究と生物学的研究,臨床像を複雑化しているcomorbidity,診断と治療法,さらに転帰に関する主な研究の現況を紹介し,これらの問題点や今後の課題について私見を述べる。
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