Japanese
English
展望
治療抵抗性統合失調症とドパミン過感受性精神病—病態と予防および治療法
Treatment-resistant Schizophrenia and Dopamine Supersensitivity: Pathophysiology, prevention and treatment
伊豫 雅臣
1
Masaomi Iyo
1
1千葉大学大学院医学研究院精神医学
1Department of Psychiatry, Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
Treatment-resistant
,
Schizophrenia
,
Dopamine supersensitivity psychosis
,
Optimal D2 occupancy
,
Long-acting
,
Extended release
Keyword:
Treatment-resistant
,
Schizophrenia
,
Dopamine supersensitivity psychosis
,
Optimal D2 occupancy
,
Long-acting
,
Extended release
pp.291-299
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205562
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はじめに
統合失調症は19世紀末にドイツのEmil Kraepelinがすでに提唱されていた早発性痴呆や緊張病,妄想症,破瓜病などを症状と経過に着目して概念化した早発性痴呆に始まる10)。彼は,早発性痴呆は知的機能の障害であり,悪化の経過を辿り,予後不良なものであるとしている。一方で,20世紀半ばに登場したクロルプロマジンやハロペリドールなどの抗精神病薬により,幻覚妄想や興奮などの精神病症状の改善が望めるようになった。このことから欧米では統合失調症患者への医療は長期入院から地域での医療やケアに大きくシフトした。
さらに近年では第二世代抗精神病薬(SGA)が登場したことにより,統合失調症の急性期医療は大きく改善した。たとえば,Agidら1)は,初発エピソードはオランザピンまたはリスペリドンという代表的なSGAによって80%弱が著明に改善すると報告している。このように著明な改善が得られるようになったため,近年における統合失調症治療の目標は陽性症状や陰性症状,解体症状を軽度とする寛解を得て,それを維持させてさらに機能的な回復を目指すものとなっている2)。その際,抗精神病薬の継続的な投与は寛解維持,機能的な回復に重要とされている14)。
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