Japanese
English
特集 せん妄をめぐる最近の動向
せん妄の社会的問題
Social Problems in Delirium
吉岡 充
1
Mitsuru Yoshioka
1
1多摩平の森の病院
1Tamadairanomorino-hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
Restraint
,
Delirium
,
Medical ethics principles
Keyword:
Restraint
,
Delirium
,
Medical ethics principles
pp.285-289
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205561
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はじめに
「せん妄」というありふれた症状は医療現場ではよく起きる。大脳の脆弱性に起因するものであろうが,高齢者だけではない。私が最初に体験したのは50歳の現役の商社員であった。骨折入院時に生じた。入院,安静臥床を強いられる。痛みや不安などのストレスで容易に誘発される。問題は一度生じたせん妄に対して有効な向精神薬もなく,せん妄に対しては皆ある厄介さを感じているわけである。介護施設でも日常的に起きており,介護福祉士たちが予防的なケアプランを立てている。病院ではまだ安易に縛っているところが多いのではないかと思われる。入院時に家族から承諾書を取り付けているとも聞く。編集室から私にこの原稿依頼が来たのは,30年以上認知症の人達を病院や施設で縛らないためにはどうしたらよいかを主張し続けている私に医療倫理,社会的立場から発言しろということであるようだ。各論はそれぞれの先生方にお任せし,せん妄に対してあるべき姿,あるべき姿勢について日頃思っていることをまとめたいと思う。
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