Japanese
English
特集 インターネット依存の現在
ネット過剰使用と関連問題の疫学
Epidemiology on Internet Overuse and Related Problems in Japan
尾崎 米厚
1
,
金城 文
1
,
桑原 祐樹
1
,
今本 彩
1
Yoneatsu OSAKI
1
,
Aya KINJO
1
,
Yuki KUWABARA
1
,
Aya IMAMOTO
1
1鳥取大学医学部社会学講座環境予防医学分野
1Division of Environmental and Preventive Medicine, Department of Social Medicine, Faculty of Medicine, Tottori University, Yonago, Japan
キーワード:
Internet use disorder
,
Internet addiction
,
Pathological internet use
,
Problematic internet use
,
Epidemiology
Keyword:
Internet use disorder
,
Internet addiction
,
Pathological internet use
,
Problematic internet use
,
Epidemiology
pp.7-13
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205296
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はじめに
インターネットは現代にはなくてはならないものになった。生活,仕事,学業などに多くの人が利用し,若者はほとんどが何らかの機器を保有している。ほとんどの人が曝露する要因の場合,どの程度の使用までが正常範囲でどこからが病的な使用かを決めることは難しい。使用時間や頻度だけで判断すると仕事や学業のため積極的に用いている人も病的使用になってしまう。DSM-Vなどでは診断基準が提唱されてはいるが,どのような状態を排他的な(他の疾病には分類されない)疾病単位と位置付けるかは専門家の間でも完全には一致していない8)。このような状況では,スクリーニングテストの開発も難しい。おそらく病的使用とは,長時間使うことによりその人が本来果たすべき社会的責任が果たせなくなる状態で,それが精神疾患などの別の疾患やひきこもりのような他にすることがないような状態により結果的に引き起こされた長時間使用ではないと判断されるようなものであろう。スクリーニングテストの開発には,暫定的に決められた診断基準作成後,長時間使用する調査対象者全員に精神科医が面談し,他の疾病を否定され,インターネット嗜癖の診断基準に合致する人とそうでない人を識別し,両者に候補スクリーニングテストを実施することが必要である。インターネット嗜癖は行為に対する嗜癖であるが,診断基準の作成には,長年の知見が蓄積された物質依存の概念が活用されるであろう。
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