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はじめに
認知症は神経変性疾患や脳血管障害などさまざまな疾患が原因となるが,アルツハイマー病(AD)を原因とするアルツハイマー型認知症の割合が最も高い1,4)。ADは発症や進行が緩徐であり,記憶障害をはじめとする認知機能の障害に気付いた時点ではすでに脳神経細胞の変性が進んだ状態であるといわれている。ADにおける脳の病理学的変化は,認知機能障害が発現する数十年前から始まっているという報告もあり5,17,18),バイオマーカーの使用により早期にそれらの変化をとらえることが可能となった。最近では,米国の国立老化研究所(National Institute on Aging;NIA)とアルツハイマー病協会(Alzheimer's Association;AA)(NIA-AA)がADの臨床診断基準の改訂を行い,従来の臨床症状に加えて,ADの病理学的変化の指標として陽電子放出断層撮影法(Positoron Emission Tomography;PET)によるアミロイドイメージングなどのバイオマーカーによる評価を含めた診断基準を公表している2,29,31)。すでに欧米では複数のアミロイドPET用診断薬が承認されているが,わが国でも2014年7月にアミロイドイメージング用のトレーサーであるflorbetapir(18F)の合成装置であるNEPTIS plug-01®が承認された。今後,アミロイドイメージングは,臨床場面での認知症の診断や,ADの疾患修飾薬の臨床開発において応用されることが期待されている。
本稿では,アミロイドイメージングの臨床的意義,脳内アミロイドベータ(Aβ)凝集体を可視化するflorbetapir(18F)によるアミロイドPETの有用性および臨床試験成績について解説する。
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