連載 精神科の戦後史・8
精神科専門医制度の誕生とその背景
山内 俊雄
1
1埼玉医科大学
pp.771-780
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204993
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はじめに
精神科専門医制度が成立するまでの状況がどのようであったかは次の言葉がよく言い表している。
「日本精神神経学会での過去30年余に及ぶ認定医・専門医制度をめぐる議論は賛成・推進から反対・凍結に至るスペクトルムを持つ多くの論点を提起し,多岐にわたる問題を掘り起こしてきた。その真摯な議論はいずれももっともな主張を含んでいる。・・・・・認定医・専門医制度をめぐる学会での議論をたどると,・・・・理想を捨てずに,少しの異論をも取り上げて民主的に討議し,具体的な解決の方策を模索し,根気よく折り合えるところを探ってきた努力を跡付けることができる」(上野豪志)17)
本論では,日本精神神経学会(以下,当学会)において精神科専門医制度(以下,特別の断りがなければ専門医制度と記述する)がどのような議論を経て,何を目指して成立したかを述べてみたい。
なお,専門医制度の呼称はわが国の専門医制度をめぐる動きに呼応して,「専門医」から一時「認定医」へと変わり,その後,ふたたび「専門医」へと変更されたので,本論文では両者とも同じ意味として用いることにする。
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