特集 公衆衛生のリーダーシップ
中核市制度の誕生と意義
新藤 宗幸
1,2
1千葉大学
2公益財団法人 後藤・安田記念東京都市研究所
pp.26-29
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208099
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はじめに
現行の地方自治法が施行されたのは1947年5月3日であり,多くの読者がすぐに気付くように,日本国憲法と地方自治法は同日に施行された.戦前期憲法(明治憲法)には,地方自治に関する規定はまったく存在しなかった.現行憲法は主権が国民にあることを宣言したが,同時に国民社会全体に責任を負う中央政府と地域社会に責任を負う自治体という二つの政府の存在を宣言し,両者の対抗を民主主義政治体制の基本に位置づけたのである.これ自体は画期的な変化だが,基礎自治体である市町村の権限は,おしなべて同一であった.いいかたを変えると,人口,面積,財政力,地域にもつ経済社会的機能などの違いは,制度上まったく配慮されなかった.
ところが,こうした画一性は,1990年代初頭に始まる地方分権改革によって大きく変わったばかりか,なお継続中である.本稿では,中核市制度の創設を中心として,画一から多様へと変わりつつある地方行政制度の歩みと現在の課題をみることにする.
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