オピニオン DSM-5—私はこう思う
DSM-5の背景と作成過程
大野 裕
1,2
1一般社団法人認知行動療法研修開発センター
2認知行動療法センター
pp.600-603
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204960
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに:DSM-5が目指した夢のパラダイム・シフト
米国精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』(DSM-5)1)は,DSM-Ⅳが発表されてから19年後の2013年5月に発表された。これだけの期間が空いたのは,変更するだけの明確な科学的根拠が得られなかったためである。
しかし,米国精神医学会は精神疾患概念を再考するに足る科学的根拠が揃うのを待ち続けることができなかった。その一因として指摘されるのが,米国精神医学会の経済的な苦境である。米国精神医学会は運営費が逼迫しており,そのために大きな収益が上げられるDSM-5を改訂せざるを得なくなったという。そのために,カテゴリーを変えるだけの明確な科学的根拠に乏しい中でDSM-5を出版せざるを得なくなったのである。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.