Japanese
English
特集 リエゾン精神医学の現状と今後の展望(Ⅱ)
老年期医療とリエゾン精神医学
Consultation Liaison Psychiatry in Geriatric Medicine
熊谷 亮
1
,
一宮 洋介
1
Ryo KUMAGAI
1
,
Yosuke ICHIMIYA
1
1順天堂東京江東高齢者医療センターメンタルクリニック
1Department of Psychiatry, Juntendo Tokyo Koto Geriatric Medical Center, Juntendo University Faculty of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Consultation liaison psychiatry
,
Geriatric medicine
,
Delirium
,
Behavioral and psychological symptoms of dementia
,
Depressive state
Keyword:
Consultation liaison psychiatry
,
Geriatric medicine
,
Delirium
,
Behavioral and psychological symptoms of dementia
,
Depressive state
pp.259-265
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204889
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
日本の少子高齢化はとどまるところを知らない状況にある。総務省の報告では,2013年の日本の総人口は1億2729万8千人で,3年連続での減少が認められた。一方で,65歳以上の人口は1950年以降上昇が続いており,2013年は25.1%と4人に1人が65歳以上となった15)。日常臨床の場面でも,多くの医師が患者の高齢化を実感しているのではないだろうか。
加齢はさまざまな疾患のリスクファクターであり,高齢者は複数の疾患を合併しやすい(multiple pathology;多病性)。このため,治療に際しては複数の診療科や職種が対応することが多く,円滑な連携が不可欠である。精神科領域でも,認知症やせん妄など加齢に伴い発生頻度が上昇する疾患があるため,リエゾン精神医学が実践されるケースが多い。
順天堂東京江東高齢者医療センター(以下,当院)は,2002年に開設された348床(一般病棟219床,精神科病棟129床)を有する総合病院である。精神科医の活動は外来診療,精神科病棟を用いた入院治療,一般病棟でのリエゾン活動に大別される。2014年に当院の一般病棟に入院中,メンタルクリニック(以下,当科)に診察依頼があった患者を表1に示す。相談件数は総計131件,近年は身体科が高齢患者以外の対応にあたっていることもあり,比較的若年齢の患者の相談もあったが,その多くは65歳以上の高齢者(121件)だった。高齢患者の相談内容を,表2に示した。
本稿では,当院での高齢患者に対するリエゾン活動の現状について,症例を挙げながら述べる。症例の記載については個人が特定できないよう配慮し,一部内容を変更している。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.