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特集 リエゾン精神医学の現状と今後の展望(Ⅰ)
救急医療とリエゾン精神医学
Emergency Medicine and Consultation-liaison Psychiatry
日野 耕介
1
,
小田原 俊成
1
Kousuke HINO
1
,
Toshinari ODAWARA
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター
1Yokohama City University Medical Center, Department of psychiatry, Yokohama, Japan
キーワード:
Psychological symptom
,
Suicide attempt
,
Delirium
,
Brain injury
Keyword:
Psychological symptom
,
Suicide attempt
,
Delirium
,
Brain injury
pp.185-193
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204870
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はじめに
救急医療は,急性に発症あるいは増悪傾向にある身体疾患に対応することが主な役割であり,一見精神科医療との関連性は低い領域のようにみえる。また,我々精神科医療従事者は,患者の病状を「身体疾患」と「精神疾患」の2つに分けて考える機会が多く,実際に「身体救急」と「精神科救急」が別々のシステムで運用されているため,救急医療と精神科医療の間に存在しているさまざまな障壁や問題点を実感することが多い。
しかし,救急医療の実態をみると,多くの症例で精神疾患や精神症状が合併し,その結果問題が複雑化していることが分かる。そのため,救急科と精神科が併設されている医療施設では,救急科(あるいは入院後の管理を依頼された身体診療科)から精神科に対する診察依頼が相次ぎ,精神科はコンサルテーション・リエゾンにより対応するのが一般的である。逆に,精神科の診療機能を持たない医療施設では,精神症状が比較的活発な救急症例や,身体的な病状が精神疾患に関連する可能性が高い救急症例の受け入れに躊躇してしまうことが少なくないのも実情である。
本稿では,救急医療とリエゾン精神医学の関係と具体的な対応について,また両者の連携に関する今後の展望について解説していく。
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