連載 精神科の戦後史・2
昭和40年精神衛生法改正とその時代
高柳 功
1
1医療社団法人四方会有沢橋病院
pp.229-235
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204878
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
どのような法にもその法が成立した時代背景があり,時代背景を読み解くと法の成立はいかにも自然なことのように思えてくる。時代背景に法がそぐわなくなると,その法は変えられるか消えていく。
精神保健福祉法もこのような法律一般の歩みと無縁ではなく,時代背景を受けて数多くの改正を経て今日に至っている。筆者の考えでは,昭和25年成立の「精神衛生法」は精神障害者救済法としての性格を持っていた。これが昭和40年改正により治安対策に傾いた精神障害者対策法としての性格が色濃くなり,また昭和62年改正で法律の題名も「精神保健法」となって,精神障害者の人権擁護対策法としての性格が強くなった。
本稿では第2次世界大戦敗戦後,10万余と推定された精神障害者を悲惨な放置状態から救済するために立法された精神衛生法が,どのような時代背景によって治安対策的な色彩の強い法律に変貌していったか,以下に述べてみる。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.