Japanese
English
展望
認知療法
Cognitive Therapy
大野 裕
1
Yutaka Ono
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.794-805
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204748
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I.はじめに
認知療法Cognitive Therapyとは,人間の認知の過程に焦点を当て,その歪曲部分を修正することによって症状消失をはかる一種の短期精神療法であり,抑うつ状態,不安性障害,恐慌障害等の精神科疾患に対するその効果が注目を浴びている。とくに,米国では数多くの臨床研究が積み重ねられ,うつに対する認知療法,対人関係療法Interpersonal Psychotherapy47),薬物療法の効果の比較研究がNIMH主導で行われ,生物学的志向性が非常に強まってきている1988年のアメリカ精神医学会(APA)総会でも認知療法のシンポジウムが開かれて好評を博し,それを受けてAPAの年間のまとめであるAnnual Review 1988年版で特集17)が組まれている。さらに,1989年にはロンドンで第3回国際認知療法学会が開かれることを考えると,この治療法を紹介することは,わが国の精神医学の発展のためにも意義があると考える。
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