Japanese
English
研究と報告
Transient global amnesiaを主症状とした良性脳炎の1例
Transient Global Amnesla as a Main Manifestation of Benign Encephalitis: A case report
氏家 寛
1
,
山本 光利
2
Hiroshi Ujike
1
,
Mitsutoshi Yamamoto
2
1岡山大学医学部神経精神医学教室
2香川県立中央病院神経内科
1Department of Neuropsychiatry, Okayama University Medical School
2Department of Neurology, Kagawa Central Hospital
キーワード:
Encephalitis
,
Transient global amnesia
Keyword:
Encephalitis
,
Transient global amnesia
pp.515-521
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204331
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抄録 52歳の男性にみられた良性脳炎によるtranisent global amnesiaの1例を報告した。TGAはrecent memoryの選択的障害と健忘性失語を中心にしていた。脳炎は髄液所見よりウイルス性が強く疑われたが血清及び髄液抗体価の検索では同定しえなかった。とくにHerpes simplex virus type 1についてはELISA法を含め検索したが否定的であった。本例では高熱,意識障害といった脳炎による症状や髄膜刺激症状を全く呈さず,TGAのみが唯一の臨床症状であったことが特徴である。これまでの報告からは脳炎によるTGAは非常に稀と考えられるが,脳炎後遺症にみられるaxial amnesiaとの関連から実際にはもっと多く潜在する可能性を指摘した。TGAにおいて脳炎を鑑別することの必要性と早期の髄液検査の重要性を強調した。
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