Japanese
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短報
L-Dopa点滴静注が著効を奏した悪性症候群の1例
Neuroleptic Malignant Syndrome: Successful treatment with intravenous L-Dopa
井上 猛
1
,
池田 輝明
1
,
松原 良次
1
,
菅沼 由起子
1
,
小林 義康
1
Takeshi Inoue
1
,
Tcruaki Ikeda
1
,
Ryoji Matsubara
1
,
Yukiko Suganuma
1
,
Yoshiyasu Kobayashi
1
1市立小樽第二病院精神神経科
1Department of Psychiatry, Municipal Second Hospital Otaru
pp.1176-1179
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204232
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I.はじめに
現在までに悪性症候群の治療として,neurolepticsの中止,補液,冷却,解熱剤,抗生剤投与などの全身管理の他,抗パーキンソン剤(抗パ剤)をはじめ,diazepam11),chlorpromazine6),dantrolene1,13)などの薬物投与があげられている。とくに抗パ剤の使用は,悪性症候群の発症機序の1つとして指摘されている中枢性ドーパミン系の異常との関連で注目される。すなわち抗パ剤は抑制されたドーパミン系を回復させることにより,症状改善をもたらす可能性をもつものであり,すでにdopamineの前駆物質であるL-Dopa4,7,8)やdopamine agonistであるbromocriptine12)などの有効例が報告されている。ただしL-Dopaの使用はすべて内服によるものであり,静注あるいは点滴静注を試みた報告はない。
最近われわれは,肝癌を併発して重篤な疲弊状態に陥った後,幻覚症状と運動不安を呈した慢性アルコール中毒の患者を経験,このため長期投与していた抗うつ剤とbenzodiazepine系薬剤を中止しhaloperidol 3mgを投与したところ,3日後に悪性症候群の発症をみた。これに対しL-Dopaの点滴静注を試み,著明な改善を認めたのでここに報告する。
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