Japanese
English
研究と報告
感情障害における家族負因と幼少期の喪失体験—英国での臨床経験から
Family History and Early Loss Experience in Affective Disorders: A study in England
北村 俊則
1
Toshinori Kitamura
1
1国立精神衛生研究所
1National Institute of Mental Health
キーワード:
Affective disorders
,
Loss experience
,
Genetics
Keyword:
Affective disorders
,
Loss experience
,
Genetics
pp.387-393
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204130
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抄録 英国バーミンガムの一病院において感情障害(ICD-8の躁うつ病および抑うつ神経症)を呈する入院患者39名につき,第1級親族における精神科疾患と,15歳以前の父または母からの死別もしくは12カ月以上の離別体験を調査した。死別体験は家族歴の有無と有意の関連を呈さなかったが,離別体験は家族歴の有無と有意(exact probability test,p=0.026)の関連を持ち,この傾向は離別の対象が異性の親である際に強いものであった。異性親からの離別を体験したものは家族歴を有する20名のうち7名(35%)であるのに対し,家族歴を有さない19名では皆無(0%)であった。このことから,うつ病発症に関与していると考えられている幼少期の離別体験は,一部には家族員の精神疾患から発生したものである可能性が示された。
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