Japanese
English
研究と報告
晩発単極性うつ病の慢性化についての一試論
An Approach to the Chronicity in Late-onset Nonbipolar Depression
高井 昭裕
1
,
植木 啓文
1
,
児玉 佳也
1
,
曽根 啓一
1
Akihiro Takai
1
,
Hirofumi Ueki
1
,
Yoshiya Kodama
1
,
Keiichi Sone
1
1岐阜大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neurology and Psychiatry, Gifu University School of Medicine
キーワード:
Chronic depression
,
Premorbid character
,
Situationanalysis
Keyword:
Chronic depression
,
Premorbid character
,
Situationanalysis
pp.1033-1039
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204397
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抄録 近年うつ病の軽症化および頻度の増加と並んで治療抵抗性または慢性ないし遷延性うつ病の増加が指摘されている。我々は単極性うつ病慢性化例を対象とし,臨床例を通してその成因論,症状論,治療論につき若干の考察を試みた。
我々は,慢性化,遷延化の病態が如何であれ,人格構造と状況構造の内的関連を重要視し,〈過剰負荷遂行型〉と〈過剰不安反応型〉の2類型をとり出した。前者の患者は周囲からの要請に対し完全主義的,強迫的に答えようとし,能力以上の負荷を自らに強いる結果,慢性化,遷延化に至るものである。従って,治療上環境調整が重要となる。後者では猜疑的,神経質的に身体症状,薬物副作用にこだわることが慢性化,遷延化に大きく関与していると考えられ,従って,現実に焦点を合わせた長期にわたる精神療法が重要となろう。またいずれの場合も,感情よりも意欲の障害がめだっていた。
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