Japanese
English
研究と報告
腎移植における精神医学的諸問題
Psychiatric Problems in Renal Transplantation
尾崎 紀夫
1
,
成田 善弘
2
Norio Ozaki
1
,
Yoshihiro Narita
2
1名古屋大学医学部精神科
2中京病院精神科
1Department of Psychiatry, Nagoya University School of Medicine
2Chukyo Hospital
キーワード:
Renal transplantation
,
Depressive state
,
Donor-recipient rela-tionship
,
Intrapsychic intcgration
,
Negative feeling toward hemodialysis
Keyword:
Renal transplantation
,
Depressive state
,
Donor-recipient rela-tionship
,
Intrapsychic intcgration
,
Negative feeling toward hemodialysis
pp.671-677
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204165
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抄録 腎移植を精神医学的見地から調査し,治療的に関わった。対象は中京病院て昭和59年4月から昭和60年6月までに行われた25例の腎移植(生体腎移植:18例,死体腎移値:7例)の被移植者である。結果は25例の被移植者のうち11例が精神症状を呈した。内訳は抑うつ状態が7例,不安・心気・焦燥状態が3例,せん妄状態が1例であった。
今回の調査から以下のことを考察した。
(1)従来の報告と比べると抑うつ状態の重症例が少ない。その理由として以下のことが考えられる。①腎摘出を必要とした症例が死体腎移植であった。②腎摘出に際して家族の同伴を行った。③生体腎移植の腎提供者が親に限られていた。(2)透析に対する否定的感情が顕著な症例が多く,腎移値の理想化を引き起こし,同時に抑うつ症状の誘因となっている。(3)移植腎の統合過程は被移植者腎提供者関係に影響される。生体腎移植を契機にして,親子関係の様々な問題が露呈される。
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