巻頭言
脳は脳を知ることができるか
中沢 恒幸
1
1名古屋保健衛生大学医学部精神神経科
pp.326-327
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203561
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これはグラスドールの有名な問いである。できるだけ<脳を知って>診療に当ることは我々に課せられた当然の使命である。しかしそう思うものの最近の研究開発は診断や治療への<さぐり>を入れるのに余りにも早く広くて戸惑いすら感じさせる。
いくつかの例が挙げられる。従来興奮系にノルアドレナリン(NA)系とコリン系の2系統の回路(このほか地味ながら確実な歩みをつづけているヒスタミン系もある)があるが,これに最近神経ペプチドが加わった。神経ペプチドはまだ神経伝達物質の条件を充分充していないがmodulatorであることは間違いなく,独立した系となる日も近い。
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