Japanese
English
特集 薬物と睡眠をめぐって
サーカディアン・リズムと薬物
Circadian Rhythm and Drugs
遠藤 四郎
1
Shiro Endo
1
1東京都精神医学総合研究所・精神生理研究室
1Dept. of Psychophysiology, Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.207-216
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203546
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I.はじめに
生体リズムとしての心身機能には,その機能が最大限に発揮され,最大値を示す時刻がある。たとえば,体温は早朝に最低値を示し,午後から夕刻にかけて最大値を示す。このように100以上の生体機能は,その最大値を示す時刻がそれぞれ異なっており,そのあいだにある関連をもっている。
生体機能はリズム性を有するだけではなく,外界からの種々の刺激に対しても時刻によって異なった生体反応を示す。例えばラットに比較的大量のamphetamineを注射すると,暗期の終り(0700)では致死率は6%であるが,暗期の中間期(0300)に注射すると致死率は77.6%と飛躍的に上昇する。このことはある時刻に投薬した場合には安全であるものが,他の時刻には必ずしも安全でないことを意味している。このような薬物に対する反応と効果に生体リズムの考えを導入して,薬物効果を最大にし好ましくない副作用を最少にする時間薬理学(chronopharmacology)がまず発展し,その他の医学の領域,例えば外科手術,放射線治療等に応用され時間治療学(chronotherapy)に拡大されてきている。
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