Japanese
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特集 精神科診療所をめぐる諸問題
現実と課題
地域医療におけるてんかんクリニック
Current Situation and Problems in Psychiatric Clinic: Medical and social services of private epilepsy clinic in a community
田所 靖男
1
Yasuo Tadokoro
1
1田所クリニック
1Tadokoro Clinic for Epilepsy
pp.1069-1075
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203480
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Ⅰ.まえがき
わが国の公立医療機関のなかで,てんかんに専門化したものは,国立療養所静岡東病院をもって嚆矢とするものであろう。それ以前にも,国立武蔵療養所のてんかん病棟開設,2,3の大学病院などにおけるてんかん特殊外来の運営など,てんかん診療に専門化した組織があり,それぞれの地域におけるてんかん医療センターとしての役割を果してきたものと考えられる。近時てんかん学の発展と共に,てんかんに関心をもつ研究者が急速に増加しつつあることは,てんかん研究者の集まる研究会が各地に組織されてきたこと,従来セミクローズドであった「日本てんかん研究会」が「日本てんかん学会」として公開され,その会員数が600に達したことなどでも理解される。また,てんかん診療機関としても,多くの国公私立大学病院,国公立大病院など,公的医療機関の中に次々とてんかん特殊外来が設けられ,それに参加する医師の数も年々増加しているのが現状である。しかし,小規模の医療機関,いわゆる開業医が持つてんかん専門の診療所はきわめて少数にすぎないと思われる。精神科医である筆者は,てんかん専門の診療所を開設・運営して10年の経験をもつものであるが,ここにその経過と現状を報告し,わが国の医療制度の中で,あるべきてんかん医療体系を考え,その中でささやかながら筆者のごとき小規模専門診療所のもつべき役割と位置付けについて私見を述べてみたいと考える。
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