Japanese
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展望
機能性精神病におけるプロラクチンの動態—精神分裂病と躁うつ病
Dynamic State of Serum Prolactin Levels in Functional Psychoses
吉田 秀夫
1
,
吉本 静志
1
,
高橋 良
1
Hideo Yoshida
1
,
Seishi Yoshimoto
1
,
Ryo Takahashi
1
1長崎大学医学部精神神経学教室
1Dept. of Neuro-psychiatry, Nagasaki Univ. School of Medicine
pp.918-938
発行日 1982年9月15日
Published Date 1982/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203465
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I.はじめに
いわゆる内因性精神疾患の中で精神分裂病と躁うつ病に関して,アミン代謝を中心とした種々の研究が生化学,薬理学,神経生理学的に行われ,少しずつではあるが,病態生理が解明されはじめている。その中で,精神分裂病についてはアミン,特にドパミン(DA)の代謝との関連が注目され,種種の方法論によりこの仮説の検索が進められている。そして生活している病者において脳という人間の最高位の領域の研究にいかにより直接的な方法で迫るかに研究者の模索がある。しかしこれまで試みられた方法としてはまず髄液による種々のアミンおよびその代謝物の測定,次に分裂病死後脳での同様なアミン代謝の測定や,アミン受容体の変化の研究などがある。それとともに,精神神経内分泌学的な研究も数多くなされてきた。これは,下垂体より分泌されるいくつかのホルモンがアミンと深い関わりのあることが判明し,体液中に放出されたホルモンの測定により脳内のアミン機能を推測しようという試みである。この稿では,これらのホルモンのうち特に注目されているプロラクチン(PRL)について,精神分裂病と躁うつ病におけるその動態,および治療薬との関連をこれまでの報告と,著者らの知見に基づいて述べるとともに今後のPRL研究の方向にもふれてみたい。
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