Japanese
English
研究と報告
抑うつ神経症をめぐる臨床の動向—一大学病院精神科の外来調査から
Statistical Study on Neurotic Depressive States
松本 雅彦
1
,
川越 知勝
1
,
田原 明夫
1
,
土戸 光雄
2
Masahiko Matsumoto
1
,
Tomokatsu Kawagoe
1
,
Akio Tahara
1
,
Mitsuo Tsuchido
2
1京都大学医学部精神神経科
2公立小浜病院神経科
1Department of Psychiatry, Faculty of Med., Kyoto Univ.
2Department of Neurology, Obama Hospital
キーワード:
The ambulatory depressives
,
Mild and chronic type
,
Premorbid character
Keyword:
The ambulatory depressives
,
Mild and chronic type
,
Premorbid character
pp.827-833
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203454
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抄録 一大学病院精神科外来診療の実態調査を機会に,うつ病圏の臨床をその時代的推移に注目しつつ考察した。その結果,
①この20年間,全外来受診者のうち分裂病圏の患者の占ある比率はほぼ一定であるのに比し,うつ病圏の患者が着実な増加傾向を示していること,
②そのなかで,この10年テレンバッハ流のメランコリー概念が定着し,神経症性うつ病メランコリー型が一定の比率を占めていること,
③うつ病圏の患者の増加は,神経症とうつ病とのいわば中間型とでもいえる神経症性うつ病未熟型の増加によること,などが明らかとなった。
この神経症性うつ病—未熟型は,その病前性格において,今一つの神経症性うつ病—メランコリー型の示す適応のよい社会的成熟度には達していない点で特異な位置を占め,それが近年のうつ病の「軽症化にしてかつ慢性化」の傾向を強く浮きだたせることになっている。この亜型が精神科外来治療で無視できない1群を構成しつつあることを報告し,この種の疾病の病前性格をも含めた新しい観点からの整理・解明が要請されていることを述べた。
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