Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者の表情認知(1)
Cognition of Facial Expressions by Schizophrenic Patients (1)
馬場 謙一
1
,
村山 久美子
2
Kenichi Baba
1
,
Kumiko Murayama
2
1群馬大学教育学部心理学科
2早稲田大学文学部大学院心理学専攻
1Dept. of Education, Gumma University
2Waseda University
キーワード:
Facial expressions
,
Cognition
,
Distorted perception
,
Schizophrenic perception
Keyword:
Facial expressions
,
Cognition
,
Distorted perception
,
Schizophrenic perception
pp.835-840
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203455
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抄録 精神分裂病患者が他人に対して抱く被害感,恐怖感などの基礎に,正常者と異なった表情認知があるのではないか,という疑問が持たれる。本研究は分裂病者と正常者に斎藤の表情写真を刺激材料として呈示し,(1)愛・楽しみ・喜び,(2)驚き,(3)恐れ・苦しみ,(4)決意・怒り,(5)嫌悪,(6)軽蔑の6カテゴリーに分類判断させた。その結果,基本的には分裂病者も正常者と類似の判断をしていることが分った。しかし両者間には多少の差も認められた。患者群のほうが正常者群よりも,表情写真を愛や喜びに多く分類し,全体の反応パターンも円環モデルで考えた場合,この方向への偏りがみられた。このような傾向を生じた理由として,精神分裂病患者は,俳優が意図的に作った顔の背後にある,俳優の真のパーソナリティのやさしさに,正常者よりも敏感に反応している可能性がある,と推測された。
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